6. 「赤ちゃんファンド」を作れないか?

コラム:少子化をどう解決するか

ビジネスの原理を使って少子化を克服できないか?という思いつきのアイディアです。
(子供でお金を稼ごうという話ではないので、誤解なきよう・・・)

政府は異次元の少子化対策と銘打って、全然異次元ではない少子化対策を矢継ぎ早に打っていますが、どれも焼け石に水くらいの効果もあるか疑問なものばかりです。

若者が子供を作らないのは、結局はこの国で暮らす人々の平均の可処分所得が下がり続けており、結婚出産子育てにかかるコストを子供が大きくなるまで賄いきれないと判断しているからであり、対策としては社会全体で子育てコストを負担して親にかかる子育てコストを限界まで下げるか、経済の構造改革をしっかりやって経済大国として復活を果たすかのどちからしかない、というのが専門家の見解と思います。

しかし、日本政府が少子化を認識した1970年代以降、ずーっとこれらのことが専門家のなかでは言われていながらこの50年有効な政策を打ち出せていないということは、50年もやって無理だったので、きっとこれからも無理なのでしょう。
この国の社会保障費は高齢者を中心に毎年120兆円も費やされていますが、子育て政策には5兆円くらいしかまわっていません。120兆円のうち、5兆円回してくれれば子育て政策経費は2倍の10兆円になりますが、5兆円を回すという意思決定がシルバー民主主義のためにできないのです。
経済大国としての復活も、日本の各種国際競争力ランキングは低下の一途であり、ランキングを構成する項目一つ一つが悪化している根本的な原因に全然向き合わないまま、毎年毎年表面的な政策を打つことしかできない構造に政官がなってしまっているため、やはり難しいと思われます。

ということは、これまでの専門家的意見にとらわれない、第三のアイディアがそろそろ必要なのではないでしょうか。
私はビジネスの世界で生きていますので、年貢をいかに集めてどう配分するかという税の考えではなく、資本を集約してイノベーションをいかに生むかというビジネスの考え方をベースにしたいと考えています。

そこから出てくるアイディアは、ずばり「赤ちゃんファンド」です。
原理はこうです。
子供を一人生み育てて大人にするには、だいたい2千万円くらいかかると言われています。この2千万円は家計から見ればコストであり重い負担ですが、ビジネス側から見ると売上です。赤ちゃん用品メーカー・子供用品メーカーの商品売上、塾にとっての教育サービス提供売上、保険会社にとっての学資保険売上、大学にとっての授業料収入などです。
例えば、赤ちゃんが一人生まれたら、その赤ちゃんに1千万円を給付してはどうでしょうか。すでに公費で500万円くらいは子供手当とか法定ワクチンとかさまざま手当されていますので、このファンドから1千万円追加で支給します。さすがに赤ちゃん1人生まれたら全部で1500万円もらえる、となれば残りの500万円くらいは親が働けばなんとかなります。

そうすると子育てコストが限界まで下がるため、親にとって経済的負担は限りなく小さくなります。社会全体で1500万円を投資し、2000万円になって返ってきたら、20年で約1.3倍、130%のリターンです。
国債の利息が0.05%とかですので、ものすごいリターンです。
赤ちゃん用品市場や塾市場といった一つ一つの子供市場は数兆円規模と思いますが、これらはこのままではしぼんでいく運命であるため、子供を増やすか海外進出するかしか道がありません。付加価値を上げてシェア争いをしても、いずれ縮んでいくパイの中では虚しい消耗戦を強いられるだけで未来がありません。パイ自体を増やすことが大事です。

1千万円一度にもらったらパチンコに使ってしまう親がいるんじゃないかとか、強盗に入られるといった心配もありそうですが、20年間毎年50万円ずつお渡しするとか、クーポン形式にするとか、支払先に直接支給するとか、やり方は工夫次第だと思います。

子供手当で毎月5千円では「もう一人生もうかな」という人はあまり増えないと思いますが、「20年間で1千万円もらえます」なら、踏み切る人は結構増えるのではないでしょうか。
これで毎年数万人でも増えれば、仮に5万人でも増えれば、そしてこれが30年くらい続けば累積により、徐々に人口は回復に向かう計算になると思います。

問題はこのファンドを誰が運用するかですが、国以外にはないのではないかと思いつつ、これまでずっと有効な政策を50年くらい打てていない政府ですので、きっと無理でしょう。
また、ファンドという性格と2千万円の売り上げ先が民間企業メインと考えると、公的組織・公務員にはそもそもフィットしないと思いますので、心ある民間企業の集まりで公益的な性格のファンドを公益財団法人形態で運営するとか、そうした離れ業が必要になると思います。
きっとシンクタンクやコンサルティング会社、投資銀行などが中心になり、多数の大手企業を集めて原資を募り、どこかの地域から小さく始めて、徐々に参加してくれる企業を増やしていくのだと思います。最初に原資を出してくれる企業は赤ちゃん・子供用品メーカーや教育産業、保険会社などではないかと想定しますが、徐々に高校生大学生くらいまでをビジネス対象にした企業も入ってくると拡大してくるのではないかと思います。

この記事を読んだどなたか、実現に向けて一緒に考えてみませんか?

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